4、質の高い教育について
昨年の令和5年4月施行のこども基本法の下、今まで以上に子供たちに関する取組や施策が充実していくことが望まれると思います。第3期越谷市教育振興基本計画- には、「いきいきとだれもが夢に向かって輝く越谷教育プラン」というスローガンの下、様々な施策に取り組んでいただいております。大切なことは、絵に描いた餅にならないよう、しっかりと計画を立て、取り組んでいくことで、それは全ての子供たちが夢や希望を持ち、生き生きと輝きながら生きていくということにつながります。さらに、SDGsの17のゴールのうち、4つ目の「質の高い教育をみんなに」ともあります。質の高い教育を全ての児童生徒が受けることは、越谷の将来を担う子供たちにとっては極めて重要なことです。そこで、お伺いいたしますが、質の高い教育とは具体的にどのようなことなのかお示しください。教育長のご答弁をお願いいたします。以上でございます。
教育長答弁)
それでは、ただいまの斎藤議員さんのご質問にお答えをいたします。学校教育についてのお尋ねでございますが。質の高い教育については。生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会構造や雇用環境は大きく、また急速に変化しており、予測が困難な時代となっております。このような中で、第3期越谷市教育振興基本計画では、生涯学習社会の実現を目指し、夢や希望を持ち、生き生きと輝きながら生きていくために、誰もが目標を持って自己実現を果たすことができるよう、生涯にわたり学び、その成果を地域社会や次世代に受け継いでいくことが大切であるとしております。特に学校教育においては、子供たちが変化の激しい社会において、自らの夢や希望、目標に向かって粘り強く学び、基礎的、基本的な知識、技能や思考力、判断力、表現力等の確かな学力を育成すること、健やかに成長するために必要な豊かな心を育むこと、生涯にわたって健康な生活が送れるよう、健やかな体を育成することなどの生きる力を育むことを目標としております。こうした生きる力を育むためには、個々の児童生徒に寄り添いながら、特性等を十分に理解し、それぞれのニーズに応じた指導を行い、児童生徒一人一人の資質、能力を育成することが大切であると考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
再質問)
次に、最後の学校教育について再度質問いたします。質の高い教育ということに対して、ご答弁にもありましたとおり、個々の児童生徒に寄り添いながら、特性等を十分に理解し、それぞれのニーズに応じた指導を行い、児童生徒一人一人の資質、能力を育成することが大切であるというふうにおっしゃっておりました。そのとおりで、小中学生、通常学級には一人一人個性豊かな児童生徒がいるわけです。逆に言うと、誰一人同じ子はいないといった状況の中で、質の高い教育をするということはとてつもない労力が必要だというふうには実感しています。しかしながら、越谷の将来を担って立つ子供たちに対して、充実した教育、質の高い教育を提供するということは、私たちの責務だと思っております。その責務を果たすためには、PDCAサイクルでいえばDの実行部分である学校教育の現場が肝腎で、最重要だと思っております。様々な児童生徒がいる中で、幅広く誰一人取り残すことがないように、特別支援学級や通級などの充実にも取り組んでおられますが、通常学級の中においても、誰も取り残すことなく、質の高い教育に向けての取組が必要です。そこで、何年も前から、もちろん私も子供いますけれども、感じていることなのですが、明確な基準はないとされていますが、知能指数(IQ)71から85付近にある領域に点在する児童生徒に対しての向き合い方についてお伺いしたいと思います。通常学級の中には、知的障がいではないけれども、状況によってはよく観察をして手を差し伸べなければいけないような場面も出てきます。必ずしも全員ではないですが、勉強についていけないとか、感情のコントロールがうまくいかないとか、コミュニケーションが苦手であったり空気が読めなかったりということで、生きづらさを感じている児童生徒がいるのは事実です。悩んでいるかどうかという、こういうような状況を見抜き、適切に導いてあげることが重要だと思います。一斉指導という学習方法の中で、先生方のご苦労もよく分かりますが、こうした児童生徒たちに対するサポートが抜けており、苦しんでいる子供たちがいるのは事実です。このIQ71から85の範囲に該当する子供たちの割合は、ある調査によりますと14%、1クラス35人であれば5人程度が何らかの課題を抱えている可能性があります。心の苦しみから不登校につながることも考えられますし、いじめなどの問題に発展する可能性も懸念されています。障がい者としての範囲であれば、障害者手帳の下、様々なサポートが受けられますが、問題なのはここを外れた児童生徒への認識と対応だと思います。学校教育の中で誰一人取り残さないよう教育していくためには、家庭の協力ももちろん必要ですが、学校という一つの社会の中で、子供たちがどう成長していくかを見守ることが重要です。子供たち本人は一生懸命に頑張っているけれども、苦手で自信を失ったり、さらには自分を責めてとても生きづらい状況にあるのが事実です。そこで、教育長に再度お尋ねいたしますが、個性や能力が点在している児童生徒に対して、質の高い教育をどのように行っていくかお示しください。お願いいたします。
答弁)
吉田 茂教育長 ちょっと哲学的なお話になってしまうので、ちょっと難しいのですけれども、私としての捉え方というか、こういうことをお話ししていますということをちょっと前段で申し上げたいのですが、よろしいでしょうか。特別支援教育が教育の原点であると、こうやってよく言われます。それは、特別支援教育にあっては、児童生徒一人一人の特性を理解し、その教育的ニーズを踏まえた個に応じた指導をすることが求められております。例えば移行期研修で、全然知らない人を県立の特別支援学校へ行かせると、部屋に入ったきり話が全然できないのです。なぜできないかというと、どう話していいか分からないのです。そのためにはその子供たちがどういう障がいを持っていて、どんなふうに対応すれば一番いいのか、それを分からなければまず駄目なのです。そういうようなところがあって、原点であるというふうに言われているわけです。したがって、このことは、通常学級であろうが特別支援学級であろうが、やはり教育をする上では外せないものだというふうに考えております。また、生きる力については、先ほどの答弁で申し上げましたけれども、言い換えると、生きる力というのは、将来に何か問題にぶつかったときに、それを自分の課題としてまず受け止め、既習の知識や技能を活用して、自ら考え、判断し、表現することを通して、よりよい社会の構築に向け、協調して課題を解決していく力、加えて土台となる健康な体と思いやり、協調性のある豊かな子、これをバランスの取れた全人的な力として子供たちに育成するというのが生きる力ということになります。こうした生きる力を育むためには、学校教育にあっては、これは国が使っている言葉ですけれども、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進めること、これが求められておりますが、そのためには主体的・対話的で深い学び、これはアクティブラーニングという言葉なのですけれども、学びの実践による授業改善に取り組む必要がございます。さらに、こうした授業を通して生きる力を育むためには、分からないことを恥ずかしく思うのではなく、分からないことをそのままにしておかない学び、あるいは協調して課題を解決していく学び、臆することなく自分の考えを自分の言葉で表現することができ、自分は自分であっていいのだということを実感できる学びといった学びの環境を整えるとともに、その子にとって何が一体最適なのか。また、教える側からすれば、その子にとって何が最適な教育なのか。さらに、どんな力をつけてあげればいいのかなどについて、児童生徒一人一人の教育的ニーズを踏まえて考える必要があると。これは私はうそでなく、常々言っているところです。初任者にも言い、あるいは学校に行ってもそういう考え方で教育を進めてくださいねと言っているところです。したがって、単に知識を教え込むだけでなく、よりよい教育の質の向上を目指すという意味を込めて質の高い教育としている。これは本市だけではなくて国もそうやって使っていますので、としていると認識しているところでございますが、特別な支援が必要な児童生徒の実態は、ではどうなのかと。そういった中での教育の方向性はどうなっているのか、あるいはそうしたことに見合うような教員の研修をどうやってやっているのだというようなことについては、そういう具体については学校教育部長よりお答えを申し上げます。
答弁) 学校教育部長
それでは、ご質問にお答えいたします。質の高い教育を、今教育長がおっしゃったような理念で進めているところでございますけれども、例えば、では具体的にどのようなことということでありますと、まずは先ほど議員さんおっしゃったように、担任一人一人の能力をやっぱり高めていくことは非常に大切です。特に教室の中で一定程度やっぱりなかなか学習のばらつきが出たりとか、集中できないというお子さんもいらっしゃいますので、いわゆる個別にどのように、まず児童生徒理解をていくのか、見取る力が必要になってまいります。そして、さらに見取った後に、ではその子一人一人にどのような手だてを立てればいいのか。これは一様に決まっているものではなくて、やはりその子の実態に応じて違いますので、100人いれば100通りの指導方法があるというふうに思っております。そういった場合に向けて、一斉指導という形でありますけれども、その子、その子に個別の指導を行う必要がございます。 そこで、教育委員会としましては、発達支援訪問といいまして、専門家を年に2回学校にお招きして通常の学級を見ていただきます。担任としてちょっと気になる子をピックアップしながら、どんな実態であって、どう指導していったらいいのかを具体的に実態に応じたアドバイスをいただく。そして、それをその学級の担任だけではなくて、その学校の全教職員で一緒に協議をすることで、ではそれは私のクラスのこの子に使える手法がその中に入っていないかなとか、そういうことを考えながら取り組んでいくという研修を本市独自に行ってございます。そのほか年次研修等でも様々な、いわゆるインクルーシブ教育に向けた研修を進めておりますし、またそのときに必要な手だてが教員の手だけでは足りないということであれば、いわゆる人的な配置というのも必要になってまいります。そこで、本市としましては、特別支援教育支援員という、教員以外の人をつけております。特別支援学級だけでなく、通常学級においても利用ができるということで、人数ははっきり決まっているものではないのですけれども、各学校からの実態、要望に基づいて、特別支援学級であったり通常学級であったりということで、人を支援してございます。気になるお子さんがいれば、そのお子さんの、例えばこの子は算数の教科のときにここは支援が必要だよねとか、これは社会のときにいたほうがいいねという特性に応じて交流教育等も含めてですけれども、そこに支援員を学校の中で配置して、いわゆる複数で対応に当たれるように、そんな配慮もしてございます。また、ではそのお子さんがどんな実態であるか、担任だけが分かっていても仕方がないので、これで、ではどうしていくかということを個別の教育支援計画ですとか、個別の指導計画というのを保護者と一緒に、どんなところに特性があって、どんな教育をしていったらいいのか。また、その中でどんな合理的な配慮が必要で、どんな手だてが必要なのかということをお互いに共通理解を図りながら、特別支援学級だけでなく、通常学級に在籍しているお子さんについても必要に応じて作成をしていくということになってございます。年々やはり、パーセンテージでいきますと、文科省の調査でいいますと、通常学級にも、いわゆる行動面ですとか学習面で困難を示すといった児童生徒の割合が高まっている。平成24年度調査では6.5%と言われたのが、今8.8%という推定値も出てございます。そういうところをやはり一人一人の特性を見極めて、個別の対応をしていくことが非常に重要だと考えておりますので、今後も学校、そして担任が一人一人に向き合って、しっかりとした教育を行っていくために、人の支援ですとか、また研修を充実していくことで教育委員会も支援をしてまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
再質問)
ありがとうございます。ご答弁の中で、教育的ニーズだったりとか、個別の指導という観点から、一人一人のいろんな能力が違う子供たちにとってしっかり向き合っていただいているというような取組をする、まさにしている最中ではあるとは思うのですが、最後に1つ質問させてください。実際に、先ほどおっしゃっていた担任の先生というのは、支援員の方ももちろんそうだと思いますけれども、子供たちと直接会話をしたりとか、触れ合ったりとかというのは担任の先生ではないですか。学校の先生、非常に、先ほどの働き方改革という部分も含めて非常にタスクが多くて、学校の授業の準備の話もありましたけれども、生徒指導だったりとか、不登校の問題だとか、成績処理だとか、多岐にわたって非常に子供たちと触れ合う時間が私は感覚的にすごく少ないのではないかというふうに思っております。この触れ合う時間を増やすことによって、例えば子供社会で起きている問題だとか、いろんなものが未然に防げたりとかすると思うのです。また、先ほど申し上げた自殺の話もありましたけれども、親に言う、友達に言う。学校の先生がここにいないというのもちょっと残念なところなのですけれども、常日頃から触れ合って、いろんな問題の早期解決にはつながっていくと思いますので、その点で児童生徒と学校の先生、特に担任の先生、一番近い存在の人が触れ合う時間が私短いと思いますが、今後どうなっていくか、もしくはどうしていったらいいかお示しください。
答弁)
まさに働き方改革を進めている理由はそこにあるというふうにお考えいただけると一番ありがたいかなというふうに思っています。それから、一人一人を見るということは、例えば35人いたとして、それ全部一人一人を見るのか、1日で。そういうわけにはなかなかいかないですよね。ですので、計画的に見取る。今日はこの子に対して焦点を当てて授業をしようとかというようなことをしていかないと、現実的にはなかなか難しい。そういったような手法も含めて、これから研修も含め、働き方改革も進めていかなければいけないというふうに思っておりますので、ぜひご理解賜りたいと存じます。
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