越谷市議会 定例会 一般質問

活動報告

令和6年6月議会一般質問

6月定例会では、以下4点について一般質させていただきました。

1、越谷特別市民ガーヤちゃんについて

越谷特別市民のガーヤちゃんは、地域おこしや特産品の紹介をはじめ、本市の広報活動やプロモーション活動に常日頃から頑張ってくれています。また、本年3月16日に開催されました新庁舎グランドオープンの際に披露された、エントランス棟前のガーヤちゃんポストについても大変好評と聞いております。このガーヤちゃんについてですが、例えば笑った顔やかわいいしぐさをしたガーヤちゃんの家族や友達などのデザインがあれば、様々な場面で市のさらなるPRの推進が図られると考えます。また、現在ガーヤちゃんの蔵屋敷で販売しているお菓子やコースターに加え、例えば子供たちが常日頃から使える鉛筆や下敷きなどの文房具や、そういったキャラクターグッズがあると、ご当地キャラクターを通じて越谷市に愛着を今まで以上に持ってもらえ、郷土愛の醸成にもつながってくるものと考えます。  そこで、特別市民「ガーヤちゃん」の利用の現状と今後についてご見解をお示しください。

市長答弁)

まず、広報活動について、越谷特別市民「ガーヤちゃん」の利用の現状と今後についてのお尋ねでございますが。越谷特別市民「ガーヤちゃん」は、越谷商工会議所の青年部が市内にある宮内庁埼玉鴨場のカモと特産のネギを組み合わせて開発した「こしがや鴨ネギ鍋」をPRするためにつくられたキャラクターでございます。昨年度の活用実績としては、イラストの使用が135件、着ぐるみの貸出しが46件でございました。具体的には、イラストについては、市内小学校の1年生に配布されたランドセルカバーや市内の大学で開催された学園祭のパンフレットに掲載されるなど、幅広く活用されております。また、着ぐるみについては、南越谷阿波踊りやこしがや産業フェスタなどの本市を代表し、市内外からの多くの人でにぎわうイベントで活用されております。さらに、本年3月にオープンした市役所エントランス棟前には、ガーヤちゃんのデザインを取り入れた郵便ポストが設置されており、ファミリー層を中心に写真撮影のスポットとしても話題になっております。斎藤議員さんからご提案のあったガーヤちゃんの家族や友達のキャラクターとしては、「コシ~ちゃん」というキャラクターがございます。既に本市の図柄入りナンバープレート等に採用されており、今後コシ~ちゃんのデザインの種類を増やしていくことも検討されていると聞いております。また、キャラクターグッズの商品化については、越谷商工会議所から商標登録を移転しております。さらに、手続を簡素化したことで、多くの企業等が活用できるようにしており、商品化について引き続き働きかけてまいります。ガーヤちゃんは、市民の皆様や本市に訪れる皆様に親しみやすい存在であり、話題性で越谷の認知度を高め、越谷に人を集めることが可能でございます。また、地域に根差した活動に結びつけることで、本市の象徴としてまちづくりに多くの関係者の参加を促す効果も期待できます。このような特性を生かし、本市の魅力や特色を市内外に伝える広報活動及びシティプロモーションの一環として、ガーヤちゃんの活用に取り組んでまいります。

再質問・要望)

ガーヤちゃんについてですが、一番初めの広報活動についてですが、商工会議所から商標登録を移転して、また手続も簡素化されたことから、多くの企業が活用できるようになったということなので、まだまだ先ほど申し上げたように鉛筆ですとか文房具類とか、そういったのはまだまだ知っていない方もいらっしゃる、もしくは企業もそれを使えるというのがなかなか知らないという場合も結構あるのかなというふうに感じておりますので、今後こういった企業について、ガーヤちゃんの絵が使えるいろんな要素も含めて伝えていっていただいて、さらなる郷土愛の醸成につながるようなアピール活動をしていっていただけたらと思いますので、こちらは要望とさせていただきます。

2、庁舎利用について

越谷市のシンボルの一つでもある越谷市役所については、令和元年から建設が始まり、令和3年の5月には、美しい川面に映える立派な8階建ての庁舎が供用開始となりました。そして、先日3月16日に、華々しいグランドオープンセレモニーとともに、地上3階建てのエントランス棟がオープンしたところです。特にエントランス棟は、吹き抜けのある明るいロビー、2階から越谷市の魅力の一つである川面を眺めながらゆったりとした気分で過ごせるカフェなどを有し、すばらしいものだと実感しておりす。私も越谷市民として、越谷市議会議員として、ちょっと寄ってみようかという声が聞こえてくると、大変うれしく、誇らしく思っております。

さて、このエントランス棟を含む市役所庁舎ですが、活用の状況を見ていますと、様々な行政情報のパネル展示やイベントなどの開催があります。また、今後については、市民まつりやその他の大きなイベントで活用されることももちろんあろうかと思います。これまでの市役所庁舎の活用と同様の活用は、これからも継続していくべきだと私も考えますが、せっかくの新たな公共資源ですから、新たな庁舎の特性を生かし、活用の幅を広げていってもよいのではないかと考えるところです。例えば夏にはご存じのとおり花火大会があります。本庁舎8階の展望ラウンジから川面に映る大きな花火が観覧できそうです。新庁舎屋上のホバリングスペースも活用できそうです。ここで体に感じる花火の音や振動、ライブ感は想像するだけでもわくわくしてきます。また、エントランス棟のロビーは明るく、吹き抜けの開放感がすばらしい空間です。ユーチューブなどでも様々な動画が投稿されているストリートピアノの設置などはいかがでしょうか。品川駅や東京駅の公共施設にも設置され、人気のスポットとなっています。もちろんいろいろな用事があって市民の方が来庁するわけですから、これらを実施するとなれば、様々なご意見をいただくこともあるでしょうし、何よりしっかりとした安全対策が必要です。しかしながら、巨額の費用を投じたせっかくの公共資源ですから、もっともっと活用して市民に還元してもよいのではないかと思います。市長のお考えをお願いいたします。

市長答弁) 

次に、庁舎利用についてのうち、エントランス棟の有効利用についてのお尋ねでございますが。本市では、市民サービスのさらなる向上を図り、災害発生時の拠点としての役割を十分に果たすことができるよう、市民の安全・安心な暮らしを支える親しみのある庁舎をキャッチフレーズに庁舎整備に取り組んでまいりました。エントランス棟のみんなの広場や多目的ホールは、平日、休日を問わず、各部課所による展示や農産物の販売、イベントに使用しております。ご指摘のありましたような様々な公共資源等の積極的な活用については、施設利用を推進していく上で大変参考になるものと考えます。私も今年3月16日に実施した新庁舎グランドオープンセレモニーや、先日の越谷アルファーズB1昇格報告会において大勢の市民の方々が楽しまれている様子を拝見する中で、この市庁舎が新たなにぎわいの拠点となる可能性を実感したところです。引き続き、市民にとって使いやすく魅力ある施設となるよう、安全性や公平性に配慮しつつ、幅広い視点から知恵を出し合い、多くの市民の皆様ににぎわいを提供できるよう、創意工夫を凝らした市庁舎の利用について積極的に検討してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。

再質問)

2つ目の庁舎利用について再質問させていただきます。新庁舎の利用についてですが、先日行われたグランドオープンイベントやアルファーズの報告会など、様々今後も多岐にわたり多く使われてくると思います。そういった多くの方が来庁されるときに、そういった大きなイベント等についてアルコールの提供、例えばビールですとか、いろんなものがあると思いますけれども、そういった販売についてはどのようにお考えなのかお示しいただきたいと思います。

答弁)

アルコールの販売ということでございますが、この6月1日から土日、祝日限定ではございますが、2階のカフェにおいて、ビールをはじめとするアルコール類の販売を開始したところでございます。カフェ事業者との協議の中では、今後越谷の特産品などを使用した商品開発の話も出ておりまして、地域振興や市のPRへの観点から貢献ができるのではないかということで、ぜひ実現できればというふうに考えてございます。なお、コンビニエンスストアにおきましても、イベントに合わせたアルコール類の販売ですとか、テイクアウト商品の充実といったところについて調整をしていくというような話を伺っております。引き続き、カフェあるいはコンビニが市庁舎のにぎわいや憩いの空間を形成する貴重なワンピースとなればということで、ぜひ調整をしていきたいというふうに考えております。以上でございます。

再質問・要望)

ありがとうございます。アルコールをもう既に提供しているということで、市民の方にも多く開かれた庁舎であることはすごく魅力的だと思いますが、ただマナーとかというのはしっかり守っていかないと、お酒飲まない市民の方には何だよというふうなことも思われるでしょうから、それの運用とか、今後引き続き見ていきながらも、庁舎の利用拡大というのは引き続き続けていってほしいと思っております。また、今のような話もそうですが、様々な庁舎利用の可能性がある中で、行政事務や防災拠点だけではなくて、市民の方が多く来庁していただくことというのは、市役所からにぎわいが生まれることであったりとか、市政に対して興味を持っていただく契機にもつながると思いますので、こちらは要望とさせてもらいますが、例えば先ほど触れた花火大会なのですけれども、水郷テラスも含め、展望ラウンジとか、なかなか人が多く来ると危ないところだとは思うのですけれども、ふるさと納税の返礼品にするですとか、そういった考えもあろうかと思います。また、展望ラウンジを、8階のすごく眺望のいいところですから、夜21時ぐらいまで、例えば開けておいて、飲食ができるようにするとか、夜景が見えて、例えばいろんな方がデートで来られるのもいいでしょうし、いろんな人が来られる場の一つとして提案はさせてもらいたいと思います。こういったインパクトがある庁舎というのは、市民にとってもすごく財産、魅力あるこしがやブランドの確立に向けて非常に重要なものになってくると思いますので、ぜひとも引き続き検討していっていただきたいと思っております。

3、第2次越谷市いのち支える自殺対策推進計画について

3点目に、第2次越谷市いのち支える自殺対策推進計画について市長にお伺いいたします。子ども・若者の自殺対策の推進について。自殺対策基本法が2016年に改正され、地方自治体には自殺対策計画の策定が義務づけられました。自殺の背景には、精神保健上の問題だけでなく、過労や生活困難、育児や介疲れ、いじめや孤独などの様々な社会的要因があることが知られています。本市では、令和6年4月から5年間の期間において、第2次越谷市いのち支える自殺対策推進計画を策定していますが、残念ながら本市においても毎年50人から60人の自殺者が出ております。自殺対策については、計画における達成指標を2028年までに12.2以下を目指しておりますが、全庁的な取組が必要です。特に重点施策でもある子ども・若者の自殺対策の推進において、各種の施策を実施していますが、その内容、取組についてお伺いします。

市長答弁)

次に、第2次越谷市いのち支える自殺対策推進計画にいてのお尋ねでございますが。子ども・若者の自殺対策の推進については。全国的には小中高生の自殺者は、令和4年に514人と過去最多となり、令和5年は513人と高止まり傾向が続いております。本市におきましては、自殺ゼロを目指し、様々な施策に取り組んでいるものの、国が直近で公表している令和4年の二十歳未満の自殺者は2人となっております。全国的に15歳から24歳の青年期においては、死亡原因の半数近くを自殺が占めていることもあり、本市においても子ども・若者の自殺対策の推進が重要であると認識し、第2次計画における重点施策としております。具体的な取組といたしましては、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を担う人材を養成する自殺予防ゲートキーパー研修を、市職員をはじめ教育委員会や市内大学等と連携し、教職員等を対象に実施しております。また、児童生徒自身が信頼できる大人に対し、適切にSOSを出せるようになることを目的とした児童生徒向けのSOSの出し方に関する教育を実施しております。さらに、心の健康に関する啓発を目的に、教育委員会と連携し、市内小中学校に作品を募集した図画コンクールの実施や東武鉄道株式会社の協力の下、駅構内に「いのちを大切に!」をテーマとし、児童生徒及び市内小中学生が作成した美術作品の展示等、子供、若者にもメンタルヘルスを身近に感じてもらう普及啓発活動も実施しております。今後とも全庁的な自殺対策に関する取組と関係機関、団体との連携を図り、子供、若者を含めた誰も自殺に追い込まれることのない越谷の実現を目指し、鋭意取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。私からは以上となります。

再質問)

次に、越谷市いのち支える自殺対策について再度質問させていただきます。こちらの冊子、第2次自殺対策推進計画というのが4月に発行されまして、今まさに取り組んでおられる最中だと思いますけれども、児童生徒のアンケートに、誰にも言えないくらいに困ったときに相談する相手は誰かという問いに対して、1位が親です。2位が友達、3位が残念ながら誰もいないということなので、1位と2位、親ないし友達に、誰にも言えないときには相談するといったところであります。誰にも言えないときの児童生徒の心はとてつもなく苦しんでいるはずなのです。なので、身近にいる親がいち早く気づいてあげることが、この計画の推進には非常に重要かと考えております。親に対する、先ほどのご答弁でもおっしゃっていましたけれども、ゲートキーパーという役割に対しての啓発について、親ですね、父、母に対してのゲートキーパーに対しての啓発に関してご答弁をお願いしたいと思います。

答弁)

斎藤議員さんご指摘のとおり、青少年の意識調査の結果では、もしあなたが誰にも言えないくらい困ったときに相談するとしたら誰ですかという設問に対する回答では、各年度、小中高生ともに親、父母が1位となっております。子供、若者に一番身近で相談しやすい親、保護者に対し、ゲートキーパーの役割として、子供の状況に応じて自殺の危険を示すサインに気づき、声をかけ、話を聞き、必要に応じて専門家につなぎ、見守ることについて意識啓発を行うことは大変重要であると認識しております。小中高生の子を持つ親等に向けたゲートキーパー研修を実施することにより、地域における自殺防止に対する意識向上に寄与できるものと考えられますので、実施に向けて検討してまいりますので、ご理解をいただければと思います。以上でございます。

再質問)

ありがとうございます。ぜひとも聞き手のほうですね、ゲートキーパー研修、機会をつくってぜひともたくさんの機会を、活動していってほしいと思っております。また、今度は発信する、聞く側はいいけれども、発信できないとというのもありますし、もちろんゲートキーパーとして気づくということも大事ですが、児童生徒が困ったときに、自ら勇気を持って言い出せない子供ももちろん多くいると思うのです。その中で、SOSの出し方に関する教育についても非常に重要だと思いますが、その点についてお伺いいたします。

答弁)

子供はストレスを感じ、困難な場面に直面しても、自ら助けを求めることができず、命を絶つことで解決しようと考える場合がございます。小中高生においては、成長の過程の中で助けを求める具体的な方法を教えることが大切だと考えております。SOSの出し方に関する教育につきましては、子供が適切な援助希求行動ができるようにすることと併せて、身近にいる大人がそれを受け止め、支援ができるようにすることを目的に、小中学校から依頼を受け、実施をしているところでございます。今後につきましても、教職員向けゲートキーパー研修と併せて、1校でも多く実施ができるよう、市内小中学校にSOSの出し方に関する教育の実施の有効性について周知を図るとともに、SOSの出し方に関する教育の開催方法を含めた実施の在り方について教育委員会とも連携を図りながら検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜れればと存じます。以上でございます。

再質問・要望)

ありがとうございます。自殺対策、多岐にわたるいろんな角度から攻めると申しますか、協議していかなければいけない問題だと思いますので、全庁的な取組で今後も啓発活動のほうをよろしくお願いいたします。

4、質の高い教育について

4点目に、学校教育について教育長にお伺いいたします。質の高い教育についてでございますが、まず教育長をはじめ教職員の皆様におかれましては、いつも子供たちの成長のために様々な角度からご尽力いただき、誠にありがとうございます。昨年の令和5年4月施行のこども基本法の下、今まで以上に子供たちに関する取組や施策が充実していくことが望まれると思います。第3期越谷市教育振興基本計画- には、「いきいきとだれもが夢に向かって輝く越谷教育プラン」というスローガンの下、様々な施策に取り組んでいただいております。大切なことは、絵に描いた餅にならないよう、しっかりと計画を立て、取り組んでいくことで、それは全ての子供たちが夢や希望を持ち、生き生きと輝きながら生きていくということにつながります。さらに、SDGsの17のゴールのうち、4つ目の「質の高い教育をみんなに」ともあります。質の高い教育を全ての児童生徒が受けることは、越谷の将来を担う子供たちにとっては極めて重要なことです。そこで、お伺いいたしますが、質の高い教育とは具体的にどのようなことなのかお示しください。教育長のご答弁をお願いいたします。以上でございます。

教育長答弁)

それでは、ただいまの斎藤議員さんのご質問にお答えをいたします。学校教育についてのお尋ねでございますが。質の高い教育については。生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会構造や雇用環境は大きく、また急速に変化しており、予測が困難な時代となっております。このような中で、第3期越谷市教育振興基本計画では、生涯学習社会の実現を目指し、夢や希望を持ち、生き生きと輝きながら生きていくために、誰もが目標を持って自己実現を果たすことができるよう、生涯にわたり学び、その成果を地域社会や次世代に受け継いでいくことが大切であるとしております。特に学校教育においては、子供たちが変化の激しい社会において、自らの夢や希望、目標に向かって粘り強く学び、基礎的、基本的な知識、技能や思考力、判断力、表現力等の確かな学力を育成すること、健やかに成長するために必要な豊かな心を育むこと、生涯にわたって健康な生活が送れるよう、健やかな体を育成することなどの生きる力を育むことを目標としております。こうした生きる力を育むためには、個々の児童生徒に寄り添いながら、特性等を十分に理解し、それぞれのニーズに応じた指導を行い、児童生徒一人一人の資質、能力を育成することが大切であると考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。

再質問)

次に、最後の学校教育について再度質問いたします。質の高い教育ということに対して、ご答弁にもありましたとおり、個々の児童生徒に寄り添いながら、特性等を十分に理解し、それぞれのニーズに応じた指導を行い、児童生徒一人一人の資質、能力を育成することが大切であるというふうにおっしゃっておりました。そのとおりで、小中学生、通常学級には一人一人個性豊かな児童生徒がいるわけです。逆に言うと、誰一人同じ子はいないといった状況の中で、質の高い教育をするということはとてつもない労力が必要だというふうには実感しています。しかしながら、越谷の将来を担って立つ子供たちに対して、充実した教育、質の高い教育を提供するということは、私たちの責務だと思っております。その責務を果たすためには、PDCAサイクルでいえばDの実行部分である学校教育の現場が肝腎で、最重要だと思っております。様々な児童生徒がいる中で、幅広く誰一人取り残すことがないように、特別支援学級や通級などの充実にも取り組んでおられますが、通常学級の中においても、誰も取り残すことなく、質の高い教育に向けての取組が必要です。そこで、何年も前から、もちろん私も子供いますけれども、感じていることなのですが、明確な基準はないとされていますが、知能指数(IQ)71から85付近にある領域に点在する児童生徒に対しての向き合い方についてお伺いしたいと思います。通常学級の中には、知的障がいではないけれども、状況によってはよく観察をして手を差し伸べなければいけないような場面も出てきます。必ずしも全員ではないですが、勉強についていけないとか、感情のコントロールがうまくいかないとか、コミュニケーションが苦手であったり空気が読めなかったりということで、生きづらさを感じている児童生徒がいるのは事実です。悩んでいるかどうかという、こういうような状況を見抜き、適切に導いてあげることが重要だと思います。一斉指導という学習方法の中で、先生方のご苦労もよく分かりますが、こうした児童生徒たちに対するサポートが抜けており、苦しんでいる子供たちがいるのは事実です。このIQ71から85の範囲に該当する子供たちの割合は、ある調査によりますと14%、1クラス35人であれば5人程度が何らかの課題を抱えている可能性があります。心の苦しみから不登校につながることも考えられますし、いじめなどの問題に発展する可能性も懸念されています。障がい者としての範囲であれば、障害者手帳の下、様々なサポートが受けられますが、問題なのはここを外れた児童生徒への認識と対応だと思います。学校教育の中で誰一人取り残さないよう教育していくためには、家庭の協力ももちろん必要ですが、学校という一つの社会の中で、子供たちがどう成長していくかを見守ることが重要です。子供たち本人は一生懸命に頑張っているけれども、苦手で自信を失ったり、さらには自分を責めてとても生きづらい状況にあるのが事実です。そこで、教育長に再度お尋ねいたしますが、個性や能力が点在している児童生徒に対して、質の高い教育をどのように行っていくかお示しください。お願いいたします。

答弁)

吉田 茂教育長 ちょっと哲学的なお話になってしまうので、ちょっと難しいのですけれども、私としての捉え方というか、こういうことをお話ししていますということをちょっと前段で申し上げたいのですが、よろしいでしょうか。特別支援教育が教育の原点であると、こうやってよく言われます。それは、特別支援教育にあっては、児童生徒一人一人の特性を理解し、その教育的ニーズを踏まえた個に応じた指導をすることが求められております。例えば移行期研修で、全然知らない人を県立の特別支援学校へ行かせると、部屋に入ったきり話が全然できないのです。なぜできないかというと、どう話していいか分からないのです。そのためにはその子供たちがどういう障がいを持っていて、どんなふうに対応すれば一番いいのか、それを分からなければまず駄目なのです。そういうようなところがあって、原点であるというふうに言われているわけです。したがって、このことは、通常学級であろうが特別支援学級であろうが、やはり教育をする上では外せないものだというふうに考えております。また、生きる力については、先ほどの答弁で申し上げましたけれども、言い換えると、生きる力というのは、将来に何か問題にぶつかったときに、それを自分の課題としてまず受け止め、既習の知識や技能を活用して、自ら考え、判断し、表現することを通して、よりよい社会の構築に向け、協調して課題を解決していく力、加えて土台となる健康な体と思いやり、協調性のある豊かな子、これをバランスの取れた全人的な力として子供たちに育成するというのが生きる力ということになります。こうした生きる力を育むためには、学校教育にあっては、これは国が使っている言葉ですけれども、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進めること、これが求められておりますが、そのためには主体的・対話的で深い学び、これはアクティブラーニングという言葉なのですけれども、学びの実践による授業改善に取り組む必要がございます。さらに、こうした授業を通して生きる力を育むためには、分からないことを恥ずかしく思うのではなく、分からないことをそのままにしておかない学び、あるいは協調して課題を解決していく学び、臆することなく自分の考えを自分の言葉で表現することができ、自分は自分であっていいのだということを実感できる学びといった学びの環境を整えるとともに、その子にとって何が一体最適なのか。また、教える側からすれば、その子にとって何が最適な教育なのか。さらに、どんな力をつけてあげればいいのかなどについて、児童生徒一人一人の教育的ニーズを踏まえて考える必要があると。これは私はうそでなく、常々言っているところです。初任者にも言い、あるいは学校に行ってもそういう考え方で教育を進めてくださいねと言っているところです。したがって、単に知識を教え込むだけでなく、よりよい教育の質の向上を目指すという意味を込めて質の高い教育としている。これは本市だけではなくて国もそうやって使っていますので、としていると認識しているところでございますが、特別な支援が必要な児童生徒の実態は、ではどうなのかと。そういった中での教育の方向性はどうなっているのか、あるいはそうしたことに見合うような教員の研修をどうやってやっているのだというようなことについては、そういう具体については学校教育部長よりお答えを申し上げます。

答弁) 学校教育部長

それでは、ご質問にお答えいたします。質の高い教育を、今教育長がおっしゃったような理念で進めているところでございますけれども、例えば、では具体的にどのようなことということでありますと、まずは先ほど議員さんおっしゃったように、担任一人一人の能力をやっぱり高めていくことは非常に大切です。特に教室の中で一定程度やっぱりなかなか学習のばらつきが出たりとか、集中できないというお子さんもいらっしゃいますので、いわゆる個別にどのように、まず児童生徒理解をていくのか、見取る力が必要になってまいります。そして、さらに見取った後に、ではその子一人一人にどのような手だてを立てればいいのか。これは一様に決まっているものではなくて、やはりその子の実態に応じて違いますので、100人いれば100通りの指導方法があるというふうに思っております。そういった場合に向けて、一斉指導という形でありますけれども、その子、その子に個別の指導を行う必要がございます。  そこで、教育委員会としましては、発達支援訪問といいまして、専門家を年に2回学校にお招きして通常の学級を見ていただきます。担任としてちょっと気になる子をピックアップしながら、どんな実態であって、どう指導していったらいいのかを具体的に実態に応じたアドバイスをいただく。そして、それをその学級の担任だけではなくて、その学校の全教職員で一緒に協議をすることで、ではそれは私のクラスのこの子に使える手法がその中に入っていないかなとか、そういうことを考えながら取り組んでいくという研修を本市独自に行ってございます。そのほか年次研修等でも様々な、いわゆるインクルーシブ教育に向けた研修を進めておりますし、またそのときに必要な手だてが教員の手だけでは足りないということであれば、いわゆる人的な配置というのも必要になってまいります。そこで、本市としましては、特別支援教育支援員という、教員以外の人をつけております。特別支援学級だけでなく、通常学級においても利用ができるということで、人数ははっきり決まっているものではないのですけれども、各学校からの実態、要望に基づいて、特別支援学級であったり通常学級であったりということで、人を支援してございます。気になるお子さんがいれば、そのお子さんの、例えばこの子は算数の教科のときにここは支援が必要だよねとか、これは社会のときにいたほうがいいねという特性に応じて交流教育等も含めてですけれども、そこに支援員を学校の中で配置して、いわゆる複数で対応に当たれるように、そんな配慮もしてございます。また、ではそのお子さんがどんな実態であるか、担任だけが分かっていても仕方がないので、これで、ではどうしていくかということを個別の教育支援計画ですとか、個別の指導計画というのを保護者と一緒に、どんなところに特性があって、どんな教育をしていったらいいのか。また、その中でどんな合理的な配慮が必要で、どんな手だてが必要なのかということをお互いに共通理解を図りながら、特別支援学級だけでなく、通常学級に在籍しているお子さんについても必要に応じて作成をしていくということになってございます。年々やはり、パーセンテージでいきますと、文科省の調査でいいますと、通常学級にも、いわゆる行動面ですとか学習面で困難を示すといった児童生徒の割合が高まっている。平成24年度調査では6.5%と言われたのが、今8.8%という推定値も出てございます。そういうところをやはり一人一人の特性を見極めて、個別の対応をしていくことが非常に重要だと考えておりますので、今後も学校、そして担任が一人一人に向き合って、しっかりとした教育を行っていくために、人の支援ですとか、また研修を充実していくことで教育委員会も支援をしてまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。

再質問)

ありがとうございます。ご答弁の中で、教育的ニーズだったりとか、個別の指導という観点から、一人一人のいろんな能力が違う子供たちにとってしっかり向き合っていただいているというような取組をする、まさにしている最中ではあるとは思うのですが、最後に1つ質問させてください。実際に、先ほどおっしゃっていた担任の先生というのは、支援員の方ももちろんそうだと思いますけれども、子供たちと直接会話をしたりとか、触れ合ったりとかというのは担任の先生ではないですか。学校の先生、非常に、先ほどの働き方改革という部分も含めて非常にタスクが多くて、学校の授業の準備の話もありましたけれども、生徒指導だったりとか、不登校の問題だとか、成績処理だとか、多岐にわたって非常に子供たちと触れ合う時間が私は感覚的にすごく少ないのではないかというふうに思っております。この触れ合う時間を増やすことによって、例えば子供社会で起きている問題だとか、いろんなものが未然に防げたりとかすると思うのです。また、先ほど申し上げた自殺の話もありましたけれども、親に言う、友達に言う。学校の先生がここにいないというのもちょっと残念なところなのですけれども、常日頃から触れ合って、いろんな問題の早期解決にはつながっていくと思いますので、その点で児童生徒と学校の先生、特に担任の先生、一番近い存在の人が触れ合う時間が私短いと思いますが、今後どうなっていくか、もしくはどうしていったらいいかお示しください。

答弁)

まさに働き方改革を進めている理由はそこにあるというふうにお考えいただけると一番ありがたいかなというふうに思っています。それから、一人一人を見るということは、例えば35人いたとして、それ全部一人一人を見るのか、1日で。そういうわけにはなかなかいかないですよね。ですので、計画的に見取る。今日はこの子に対して焦点を当てて授業をしようとかというようなことをしていかないと、現実的にはなかなか難しい。そういったような手法も含めて、これから研修も含め、働き方改革も進めていかなければいけないというふうに思っておりますので、ぜひご理解賜りたいと存じます。

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