越谷市立病院は、ご承知の通り、令和6年7月1日に『紹介受診重点医療機関』として公表された。
紹介受診重点医療機関は、原則かかりつけ医等からの紹介状を持って受診する医療機関であり、より専門的な検査や治療を重点的に行うこととなる。紹介受診重点医療機関とした背景は市立病院の経営悪化によるものも大きく、令和5年の純利益(純損失)は、マイナス6憶7,220万円だ。市立病院の経営悪化は、他自治体でも深刻な問題で、草加市においてはマイナス7億4,930万円、春日部市においても6憶9,850万円の純損失を出している。 赤字の原因は人事院勧告による職員の給与増や物価高騰による診療材料費の高騰などによる経費増もその理由の一つだが、診療単価が低く在院日数が長いことや、患者の約4割が軽傷で収益に結びつかないこと、更には、病床稼働率の低さによる全体的な収益不足によるものだ。市立病院は一部病棟の休止など義務的経費の見直しを図る取組を行っているとのこと。また、病床稼働率の向上、救急患者の受け入れ率向上に努めると共に、民間医療機関との更なる連携(紹介・逆紹介)を図るなど経営改善に向け全力を傾注している。
さて、市立病院という公的医療機関は、赤字ではいけないのだろうか。もちろん赤字を肯定するわけではないが、公共とは何かを考えなければならない。市立病院(公立病院)は、独立採算制という企業的な経営と公共性を有していることをよく理解し、市民にとって地域にとっての市立病院の『姿』が重要になってくるのではないだろうか。赤字部分は市の財政支出(繰入金)で補填されることになるが、赤字だったら公共機関は無くすべきなのだろうか。経営改善努力は必要だが公共施設の役割を改めて考え直すことは重要だ。公共とは、税によって補われるものであるとも表現できる。
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